いよいよ始まりました。 "Paper Moon" を皆さんに紹介することができて、めっちゃうれしいです。 全編は時間的にも能力的にも不可能なので、全体の半分くらいは原文のままの英語で、残りはあらすじという形で紹介していきたいと思います。 何年かかるかわかりませんが、細く長く続けていきたいと思っています。 どうぞよろしくお願いします。
  最近は便利になって、辞書を山積みにしなくても、ウェブサイトで利用できるオンラインの辞書が充実してきました。 英和辞典に関しては、あることはありますが、全幅の信頼を置いて使えるものがないので少し不便ですが、英語英語辞典は由緒正しい格式ある辞書がほとんどすべて利用できます。 貧乏人のボクにとっては本当に宝の山という感じです。 
 
 それでは、記念すべき第1章の最初はやはり原文のままお届けします。 和訳文、語句の注釈はかなりいい加減ですので、テストなどでそのままお使いになって減点を食らっても、一切責任は負いませんのでそのつもりでご利用願います。
 
 
ONE
THEY SAY my mama, Miss Essie Mae Loggins, was the wildest girl in Marengo County, Alabama. I couldn't say about that. There's not much I remember about her at all. What I can recall are mostly little things. Like how after she put polish on her fingernails, she would spread her fingers wide, hold out her arms, and go waltzing around the room while it dried. I used to try to do the same thing and we both would laugh and laugh because I would get dizzy and tumble down. I remember one time a man she didn't like came to the house, and she took off her shoe and chased him right out the door.
 
[訳例] 私のママはミス・エシー・メイ・ロギンズといって、アラバマ州マレンゴ郡ではいちばん男関係の激しい女性だったってみんなが言ってる。 私にはよくわからないけど。 彼女のことで覚えていることはそれほど多くないの。 思い出せることといえば、ほとんどがちょっとしたことなの。 たとえば、彼女が指の爪にエナメルを塗ったとき、指を大きく広げ、両腕を前に突き出して、乾く間、ワルツを踊って部屋の中をグルグル回っていたことみたいな。 私も同じ事をしようとしたものだわ。 そして2人でお腹の皮がよじれるくらい笑ったわ。 なぜって、目が回って、私がしりもちをついたから。 こんなことも覚えているわ。 あるとき、彼女がいやがっていた男が家にやって来たの。 そしたら、彼女、片方の靴を抜いで、その男をおっかけて、ドアから叩きだしたのよ。
 
■感想
 まず冒頭部分、母親の紹介から始まる。 wildest の訳語が難しい。アメリカ人が、女性のことをただぼんやり wild と言うときの感じがよくつかめないですね。 仕方がないので辞書に当たってみることにします。  Marengo County, Alabama は、アラバマ州マレンゴ郡というところです。 「郡」というのは「州」の次の行政区分で、決して「いなか」ということではありませんので、注意して下さい。 まずアメリカ本土東部の地図を見て下さい。これでアラバマ州のだいたいの位置を覚えてください。 右隣はジョージア州。 州都 (Capital) アトランタでオリンピックが開かれました。左隣はミシシッピ州。 ミシシッピ川で有名です。 上に隣接するのはテネシー州です。 ジャズの曲で、この周辺の地名がタイトルについているものがたくさんありますね。 さて、アメリカ全体での位置が確認できたら、次はマレンゴ郡の地図を見て下さい。 赤○をつけておきました。 
  爪に塗ったエナメルを乾かす間に、ワルツを踊ったり、気にくわない男を、靴を片手に家から追い出す、なんていかにもアメリカらしいですね。 映画を見ているようです。 こんな何気ない、ささやかな思い出こそ、人の心に深く刻みこまれ、一生消えることはないのでしょう。
 
■文法・構文など
 They say ~は「〜だそうだ;〜といううわさだ」という意味の熟語です。 they はいわゆる一般人称で、特定の「彼ら」を指しているわけではありません。 従って「彼らは〜と言う」ではありません。 I couldn't say about that. can't の過去形の couldn't が使われていますが、これを「〜できなかった」と訳すと0点です。 これは学校英語ではあまり出てこないのですが、普段、頻繁に使われる仮定法という用法です。 「(しようと思っても)〜できないだろう。」「(ひょっとすると)〜ないだろう。」と考えてください。 「私にはそれについては(まだ、子どもだから、あるいは、はっきり知らないので)何も言えないだろう。」くらいの意味に解釈しました。 次に出てくる What は「何」ではなく、「〜するもの、こと」とお尻から訳し上げます。  Like は「〜のような」で、普通前置詞(後ろに名詞が一つ来る)ですが、口語英語ではん、接続詞(後ろに文が来る)としても普通に使われます。 訳語は同じで「〜のように、ような」でOKです。 次の how は「どのように」ではなく、「〜する方法、様子、状態」などと訳しますが、ことによると、単に「〜すること」(= that)のように訳すことも多いです。 would は過去の習慣を表します。「よくそういうことがあったなあ」という感じが出せます。  used to would と同様、過去の習慣を表します。 学校では、 would used to の違いは?などと問題に出ますが、あまり厳密に区別する必要はありません。 ここでは、まったく同じ意味で使われています。 最後の right out the door ですが、 right out of the door のことです。 口語では、 out of 「〜から外へ」の of を省いて、単に out と言います。  right out of を強調してます。 訳語は「ちょうど、ぴったし、ど〜」なんですが、これに当てはまる訳語は残念ながら見つかりませんでした。  right in front of the house なら「家のすぐ前に」と訳す感じですが…
(つづく)